診療支援
検査

原発性免疫不全症候群
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

病態

 遺伝子異常などを原因とした免疫系細胞の数の減少,機能障害,抗体の欠損・低下,補体欠損,食細胞機能異常などによる免疫能低下をきたした状態.近年では300種類近い疾患が知られ,指定難病である.障害されている免疫系統(T細胞,B細胞,食細胞,自然免疫系,補体など)および同一遺伝子異常によって惹起される他の表現型により,出現する免疫不全状態,症状,生命予後などが異なる.遺伝子異常の確認が重要


[参考]

 原発性免疫不全症候群診療の手引き 2017


異常値

 病型により異なるので,参考として以下にまとめる

・血清蛋白分画,電気泳動 γ分画減少など

・血中免疫グロブリン 減少することあり

・白血球数,分画 白血球減少,リンパ球減少することあり

・リンパ球(T,B細胞) 減少することあり

・血小板数 減少することあり

・T細胞サブセット(CD4,CD8など) 減少することあり

・アデノシンデアミナーゼ(ADA),プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)などの酵素活性 低下していることあり

・ASO,ASK 低下していることあり

・NBT還元能 低下していることあり

・PPDなど 反応陰性のことあり

・リンパ球刺激試験 低反応のことあり

・補体 CH50が低下していれば各補体成分の定量を行うこともある


診断・経過観察上のポイント

①さまざまな先天的原因により発症するため,液性免疫系(抗体の欠損),細胞性免疫系もしくはその両方の障害,さらにそれ以外として,補体欠損,食細胞機能障害に大きく分けて考える.②家族歴の有無など詳細に聴取する必要がある.③数値上正常でも,機能異常がみられることもある.④免疫不全症候群を考えさせる症状の易感染性とは,主に幼児期からの細菌性の反復性感染症,ウイルスなどの感染症の難治化,病原性の低い微生物による感染などであり,これら罹患感染症のパターンから免疫不全の状態を推測することも可能.⑤合併

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