診療支援
検査

アトピー性皮膚炎
秋山 雄次
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

病態

 瘙痒を伴う湿疹が増悪・寛解を繰り返す疾患である.多くがアトピー素因をもち,Ⅰ型,Ⅳ型アレルギーが病態に関与する.皮膚の「バリア機能」の低下という非アレルギー的側面も重要であり,表皮角層内に存在するセラミド含有率の低下やフィラグリンの発現低下が関与する.日本人の20~30%にフィラグリン遺伝子の変異を認める.また,瘙痒閾値の低下が存在する.神経系が関与しており,末梢神経系の機序として痒み刺激を伝えるC線維の分布が表皮や角層まで伸長していることが示されている.中枢神経系機序としてSTAT3依存性に脊髄アストロサイトの活性化が報告されている.ヒスタミン非依存性経路としてIL-31が関与する.脊髄後根神経節の受容体に作用しニューロキニンBを誘導し瘙痒を惹起する.最近,真皮に存在する神経栄養因子arteminや触覚を感知するメルケル細胞の関与も報告されている.血清IgEが高値でバリア機能異常が強い「外因性」と血清IgEが正常から軽度高値でバリア機能異常が弱い「内因性」に分類できる


[参考]

 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021


異常値

・血清IgE 約80%で高値.500IU/mL以上となることが多い.短期的な病勢の変化を反映しないが,長期の経過観察で病勢の推移をみるのに有用である.

・抗原特異的IgE 原因抗原で増加することがある.ダニやハウスダストの陽性率が高い.アトピー素因が背景にあるため皮膚炎には直接関与しない抗原が陽性になることもある

・白血球 約80%で好酸球増加

・血清LD 皮疹の範囲と相関する

・血清TARC(CCL17) 重症度の評価に用いる.病勢を鋭敏に反映する.成人と小児で基準値が異なり,小児では年齢が低いほど高くなる.

・プリックテスト 特異抗原で陽性(安全性高い)

・スクラッチテスト 特異抗原で陽性(安全性高い)


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●好酸球‍ [急

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