診療支援
検査

じん麻疹
秋山 雄次
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

病態

 原因はⅠ型アレルギーが関与するアレルギー性とその他(感染,寒冷,汗,日光など)の原因の非アレルギー性に分けられる.いずれも肥満細胞が刺激されヒスタミンなどの血管作動性物質が放出され,血管透過性が亢進し血漿成分が漏出する.その結果,真皮内浮腫を生じ膨疹となる.また,血管作動性物質は皮膚の末梢神経(C線維)を刺激し瘙痒を引き起こす.皮膚あるいは粘膜の深部を中心とした限局性浮腫は血管性浮腫と呼ばれ,単独,あるいはじん麻疹に合併することがある.発症してからの期間が1カ月以内の急性じん麻疹と6週間以上経過した慢性じん麻疹に分類される.関連疾患として,C1エステラーゼ阻害因子欠損(遺伝性血管性浮腫)などの血管性浮腫,じん麻疹様血管炎,色素性じん麻疹,Schnitzler症候群,クリオピリン関連周期熱がある


[参考]

 蕁麻疹診療ガイドライン2018


異常値

・血清IgE (アレルギー性の場合)陽性

・抗原特異的IgE (アレルギー性の場合)陽性

・白血球 好酸球増加を認めることあり

・プリックテスト (アレルギー性の場合)特異的アレルゲンで陽性

・スクラッチテスト (アレルギー性の場合)特異的アレルゲンで陽性

・ヒスタミン遊離試験 (アレルギー性の場合)特異的アレルゲンで陽性


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●血清IgE 診断,活動性判定,治療効果判定に有用なことがある [急性期]4週間 [回復期]3~6カ月


診断・経過観察上のポイント

①1つの膨疹は24時間以内に消失することを確認する.②まずは臨床的に病型を絞り込む.特発性じん麻疹に検査の必要性は低い.すべての症例に一律に血清IgEや生化学的検査を行うべきでない.アレルギー性の場合は抗原曝露数時間以内に発症することが多いので,発症前数時間の状況を詳細に問診することが大切である.③原因物質を絞り込み,抗原特異的IgEや皮膚テストを行う.④食物アレ

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