診療支援
検査

悪性黒色腫(メラノーマ,MM)
藤澤 康弘
(愛媛大学教授・皮膚科学)

病態

 悪性黒色腫はメラノサイト由来の悪性腫瘍であり,紫外線曝露量や部位に基づいた分類がある.分類ごとに特有の遺伝子変異をもつ傾向があり,進行期の治療選択に影響する


[参考]

 皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第3版 メラノーマ診療ガイドライン2019


異常値

・ABCDEルール 黒色斑で非対称(asymmetry),辺縁不整(border),色調不均一(color),大きさ>6mm(diameter),大きさや色調の変化(evolution)がある場合,悪性黒色腫を疑う

・ダーモスコピー 手掌や足底の色素斑の場合,良性は皮膚の溝に沿って色素が存在するのに対して,悪性は溝と溝の間の皮丘と呼ばれる部分に色素が存在するため,良悪性の鑑別に有用.その他の部位での判断は熟練を要する

・腫瘍生検 臨床的に診断が確実な場合以外は病理診断が必須であり,その際は可能な限り全切除生検を推奨(病期分類で腫瘍の厚さが重要で,部分生検だと正確な診断ができない)

・血液検査 進行例でLDや5-S-CD上昇

・体表エコー,全身CT 病期Ⅲ以上の場合はリンパ節転移,肺転移,肝転移などのチェック.リンパ節転移や遠隔転移がある症例では脳転移のチェック(造影MRIを推奨)を行う

・センチネルリンパ節生検 臨床的に明らかな転移がないがリンパ節転移のリスクがある病期ⅠB以上の症例に対して検討


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●BRAF検査 病期Ⅲ以上の症例ではその後のアジュバント治療を含めた薬物療法の選択に重要な情報となる.検査項目は「BRAF変異解析(ダブラフェニブ,エンコラフェニブ)」を選択

●全身の診察 いずれの病期でも定期的な診察を行う.in situであれば1~2年間は6~12カ月間隔,以降は年1回.病期ⅡAまでは2~5年間は6~12カ月間隔,以降は年1回.ⅡB以上は2年間は3~6カ月間隔,3~5年間は6カ月間隔,以降は年1

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