A.ER診療のポイント
●関節炎を訴えて整形外科の外来を受診する患者は多い.その多くが外傷または慢性疾患であり,必ずしも緊急性が高いものではない.
●しかし関節痛を訴えて救急搬入する患者に対しては,①外傷,②急性化膿性関節炎,③関節リウマチやSLE,悪性腫瘍などの全身性疾患,を念頭に置いた注意深い診療が求められる.
B.最初の処置
1バイタルサインと簡単な病歴聴取
意識レベルや血圧,体温などのバイタルサインよりトリアージを行い,出血性ショックや敗血症の有無を評価する.関節痛が慢性の経過によるものか否かを確認する.
2病歴と身体所見
1最初に注意するべき症状を列記する.
①関節痛:単関節痛あるいは多関節痛
②炎症性関節痛あるいは感染性関節痛
③発熱,悪寒,発赤,食欲不振,体重減少などの全身症状を伴った関節痛
④多臓器症状を伴った関節痛
2関節痛は自覚症状であるため,丁寧に病歴をとることが大切である.疼痛の7項目(