診療支援
治療

気管支喘息
bronchial asthma
山田嘉仁
(JR東京総合病院・呼吸器内科担当部長)
山口哲生
(JR東京総合病院副院長・呼吸器内科部長)

A.疾患・病態の概要

病態の特徴

 ①hyperreactivity(各種の刺激に対する気道の反応性の亢進),②brochospasm(攣縮による気道狭窄,気管支粘膜の浮腫,気道内の粘液貯留),③reversibility〔気道狭窄は可逆性(自然にまたは治療にて改善可能)〕の3点に集約される.

  気管支喘息は気道の慢性炎症と種々の程度の気道狭窄と気道過敏性の亢進,そして臨床的には繰り返し起こる咳,喘鳴,呼吸困難によって特徴づけられる.気道狭窄は,自然に,あるいは治療により可逆性を示す.気道炎症には好酸球,T細胞,マスト細胞などの炎症細胞,気道上皮細胞,線維芽細胞をはじめとする気道構成細胞,および種々の液性因子が関与する.持続する気道炎症は,気道傷害とそれに引き続く気道構造の変化(リモデリング)を惹起し,非可逆性の気流制限をもたらし,気道過敏性を亢進させる.

発症因子

 喘息の発症因子には,①素因,②抗原物質(アレルゲン),③増悪因子があるが,喘息の増加の理由は素因よりも②③の環境因子の影響が大きいと考えられる.

疫学

 食生活の変化,大気汚染物質の増加,呼吸器感染の増加,心理的ストレスの増加などにより喘息患者数は近年増加傾向にあるとされる.

喘息発作

 喘息発作とは呼吸困難,喘鳴,咳などの喘息症状が急速進行性に悪化することをいう.自覚症状の程度は増悪の指標になるが,時に症状と比較して肺機能が極端に低下していることもあり注意が必要である.増悪は数日から数時間かけて起こることが多いが,数分の間に急激な悪化をきたす場合もある.


B.最初の処置

 喘鳴,呼吸困難を呈する喘息以外の疾患を鑑別しつつ,処置を進めることになる.

1バイタルサインと発作強度の判定

1バイタルサイン 意識レベル,血圧,脈拍,呼吸数,体温をチェックする.さらにパルスオキシメータを用いて酸素飽和度(SpO2)を測定し低酸素血症の

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