A.疾患・病態の概要
1消化管異物
誤飲とは,本来嚥下されるべきでない物質が誤って咽頭から食道,胃,上部・下部消化管へ送られることである.誤飲した物質が消化管内で吸収されず消化管内にとどまる場合,これを消化管異物という.これに,大きな食物(特に肉)を嚥下し,食道に停滞する場合も消化管異物に加える.
2好発年齢
成人より小児に多く,乳児(3歳以下)に好発し,異物はコインが多い.成人では,魚骨,食物塊,義歯,薬剤(PTP)などが多い.そのほか,高齢者,精神神経科患者,老人性認知症また自殺企図者などに多くみられ,常識外の異物をみることがある.食道の生理的狭窄部位に介在する.
3咽頭異物
魚骨による口蓋扁桃や舌根部への刺入例が多い.
4食道異物
①消化管異物で臨床的に重要なのは,食道異物である.食道を通過した消化管異物の多くは下部消化管を障害なく通過して排泄される.
②食道異物は食道の生理学的狭窄部位に好発す