A.疾患・病態の概要
●神経内科領域で管理されている,表1図に挙げられるような神経・筋疾患の多くは慢性的で緩徐に進行性の経過をたどることが多い.すでに診断が確定しているこれらの患者は,多くの場合,薬物療法,理学療法に加えて,生活指導や介護計画も通常の外来診療の中で行われているので,救急患者として搬送される機会は少ない.
●しかし,原疾患の進行に伴い気道や呼吸に急性の問題を生じた場合や,何らかの感染症を合併した場合,長期間留置されているチューブ類のトラブル,栄養管理の上で問題が生じた場合,定期的に服用している薬剤の問題,介護環境の変化に伴う情報の錯綜など,様々な状況で救急外来を訪れることがある.
B.最初の処置
①初期診療で行うべき内容は,急性病態の患者と変わることはなく,重症度評価と気道・呼吸・循環の維持,および中枢神経系の評価である.
②慢性神経疾患に罹患している救急患者を受け入れる場合は,搬送の