A.小児ならではのポイント
●ショックとは,「組織の酸素需給に不均衡をもたらす全身の循環障害」である.生体に対する侵襲や侵襲に対する生体反応の結果として,重要臓器の血流が維持できなくなり,細胞の代謝障害や臓器障害が起こる急性の症候群をさす.進行すれば心肺停止に陥る危険な病態であり,迅速な判断と対応が要求される.
●小児は年齢体格によって,心拍数や血圧の正常値が異なる.また,バイタルサインやモニター値の測定が困難なこともある.そのため成人以上に,バイタルサインやモニター値に依存することなく,身体所見から迅速にショックを認知することが重要である.
●小児では輸液路確保が困難なことがあり,ショック症例ではその傾向はさらに顕著.輸液路確保の遅延は状態の悪化に結びつくため,必要時には積極的に骨髄路の確保を選択しなければならない.
B.最初の処置
1初期評価と対応
①まず,初期評価(general assessm