診療支援
治療

腹痛
abdominal pain
山田至康
(元順天堂大学教授・救急災害医学)

A.小児ならではのポイント

 小児の腹痛について,初期診察におけるポイントと診断・治療のポイントに分けると理解しやすい.

●初期診療においては視診と問診が成人よりも重要となる.自ら訴えることのできない乳幼児においては疾患の緊急度(重症度)は表情・動作から評価するしかない.この点で入室時の痛がり方,表情,目つきをまず頭に入れる.次いで保護者から「いつから・どこが・どのように痛む様子か」,嘔吐や便性・血便とともに腹部の打撲の有無を聴取する.

●この段階で,ショック症状(頻脈,末梢冷感,湿潤,毛細血管再充足時間CRT>2秒)や激しい啼泣,顔面蒼白,歩行不可能,前傾姿勢,右の側彎姿勢,頻回の嘔吐,血便を認めれば緊急対応を考慮する.

●触診や聴診についても,小児は泣かさない工夫が必要であるが,激しく泣いている場合は泣きやんだ時に素早く診察する.

●診断・治療において小児では内因性疾患による腹痛が多いため診断を

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