A.小児ならではのポイント
●急性喉頭蓋炎は声門上の喉頭蓋と披裂部を含む声門上組織の蜂巣炎で,腫脹により上気道が閉塞し,急速に進行して窒息をきたすことがある.
●小児の急性上気道閉塞性疾患には,気道壁腫脹をきたす喉頭気管炎(クループ)・喉頭浮腫・喉頭蓋炎・細菌性気管炎の4疾患,内腔に異物が入り閉塞する気道異物,気道外からの圧迫する膿瘍(深頸部膿瘍)・腫瘍・血管腫などがある.誤飲・窒息は乳幼児の事故の10%にみられ,乳幼児の急性発症呼吸困難では気道異物を必ず鑑別すべきである.
●急性喉頭蓋炎は喉頭気管炎を鑑別する.急性炎症性上気道閉塞性疾患の中では,喉頭気管炎が最も多く,急性喉頭蓋炎はまれである.喉頭気管炎は嗄声・犬吠様咳嗽を示すが,喉頭蓋炎ではそれがない(皆無ではない).喉頭蓋炎の特徴的所見は,嚥下困難・発声困難・流涎で,患児は顎先を上げ,首をそらした坐位をとり(tripod position)