A.小児ならではのポイント
●不慮の事故は,1歳以上の小児における死因の第1位であり,その中で外傷が最も多い(表1図,外傷関連死).小児外傷の主な原因は,交通事故(自転車のハンドルバー外傷),転倒,転落,打撲,そして虐待である.
●小児外傷患者の評価や治療法の優先順位は成人と同様であるが,小児の特徴に留意する必要がある.本人からの情報は得られにくく,予備能力が少なく急変の可能性があり,注意深い系統的な全身の評価と,迅速な対応を必要とする.小児において外傷による早期死亡の原因は,気道閉塞と不十分な輸液による循環虚脱であるので,輸液過剰より輸液不足を避けることが重要である.
●小児には解剖学的特徴がある.頭部が体幹に比し大きく頭部外傷が多い.小児の気道は相対的に細く,気道閉塞や換気不全を起こしやすい.肋骨などの骨格の骨化が完成していないため,軟らかく,たわみやすい.また,筋肉も薄く脆弱である.そのた