診療支援
治療

凍傷
frostbite
西村哲郎
(国立病院機構大阪医療センター・救命救急センター)
定光大海
(国立病院機構大阪医療センター・救命救急センター診療部長)

 凍傷は日本では山岳事故によるものが多かったが,現在ではこれらに代わって,以下の原因による患者割合が増加している.独居老人や路上生活者が凍死に至る場合や,虐待による小児の受傷,寒冷地での老人の徘徊などがその例である.凍傷を受傷した例では圧倒的に飲酒が絡んでいるケースが多く,これはアルコールによる末梢血管拡張作用により体温がより奪われやすくなっているためと考えられている.その他では靴下を重ねすぎて血流が悪くなり受傷した症例や,手指のリングが重症化を招いた例などがある.


A.病態

 皮膚が低温にさらされるとまずは血流が増加し局所の温度低下を防ごうとするが,深部の温度が低下すると熱放出予防のために血流が逆に減弱し局所低体温を引き起こす(hunting responce).10℃以下の局所低体温が持続すると皮膚血流はほぼなくなり,皮膚感覚は消失,引き続き血栓形成が起こる.0℃以下であれば動静脈シャント

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