A.病態
●膝関節は,人体の中で最大の荷重関節であり,その運動は骨・靱帯・筋肉・軟骨の静的支持と動的支持により制御されている.したがって膝関節における外傷の病態を把握する上で,膝関節の機能解剖を把握することは極めて大切なことである(図1図).
●大腿骨顆部は脛骨近位部(脛骨プラトー)と荷重関節を形成するとともに,膝蓋骨後面と膝蓋大腿関節を形成している.膝蓋大腿関節は荷重には関与しないが,膝伸展機構の安定化と強度を保っている.
●膝関節の安定化は骨形態だけではほとんど得られず,線維性の軟部組織により関節の安定化を頼っている.内側支持には内側側副靱帯が機能し,それは浅層と深層に分かれている.浅層は大腿骨内側上顆から起こり関節裂隙から約4~5cm遠位に付着し,膝関節の外反を制御している.深層は関節包靱帯とも呼ばれ,内側半月板に付着してその安定化に寄与している.外側側副靱帯は大腿骨外側上顆より起こり腓骨