酸・アルカリは工業用品のみならず,トイレ洗浄剤,漂白剤,乾燥剤などで家庭用薬品として日常的に用いられているため,中毒も種々の形でみられる.酸・アルカリ中毒は,主に接触部位に腐食作用による障害が発生することによる.酸・アルカリ物質の接触部位と濃度,量などにより障害の程度が変わる.経口摂取では自殺目的で嚥下されて起こることが多く,食道・胃などの上部消化管が主に傷害され,眼球・皮膚に接触した場合は,化学熱傷としてその部位が傷害され,吸入した場合は気道,肺に損傷が生じる.この項では,狭義の化学損傷を含めて記載した「化学損傷」の項(→)参照のこと.
A.代表的な物質と病態
1酸
1強酸(塩酸,硫酸,硝酸)
➊中毒学的薬理作用:水素イオンが組織表面の蛋白質と結合し,組織蛋白が脱水して組織を凝固壊死させる.組織凝固性腐食作用である.
【酸による傷害の病態生理学的段階】
①急性炎症期(4~7日目まで):24~48時
関連リンク
- 今日の救急治療指針 第2版/化学損傷
- 治療薬マニュアル2024/アルギン酸ナトリウム《アルロイドG》
- 治療薬マニュアル2024/生理食塩液《生理食塩液》
- 治療薬マニュアル2024/グルコン酸カルシウム水和物《カルチコール》
- 治療薬マニュアル2024/乳酸カルシウム水和物《乳酸カルシウム》
- 今日の治療指針2024年版/石炭酸(フェノール)
- 今日の治療指針2024年版/アンモニア
- 今日の治療指針2024年版/石灰硫黄合剤
- 今日の治療指針2024年版/石油製品中毒(ガソリン・灯油)
- 今日の救急治療指針 第2版/農薬中毒(有機リン,パラコート,他)
- 急性中毒診療レジデントマニュアル 第2版/[48]フッ化水素酸