診療支援
治療

酸・アルカリ中毒(強酸,フッ化水素,シュウ酸,アルカリ)
acid and alkali poisoning(strong acid,hydrogen fluoride,oxalic acid,alcali)
村尾佳則
(近畿大学准教授・救命救急センター)

 酸・アルカリは工業用品のみならず,トイレ洗浄剤,漂白剤,乾燥剤などで家庭用薬品として日常的に用いられているため,中毒も種々の形でみられる.酸・アルカリ中毒は,主に接触部位に腐食作用による障害が発生することによる.酸・アルカリ物質の接触部位と濃度,量などにより障害の程度が変わる.経口摂取では自殺目的で嚥下されて起こることが多く,食道・胃などの上部消化管が主に傷害され,眼球・皮膚に接触した場合は,化学熱傷としてその部位が傷害され,吸入した場合は気道,肺に損傷が生じる.この項では,狭義の化学損傷を含めて記載した「化学損傷」の項()参照のこと.


A.代表的な物質と病態

1

1強酸(塩酸,硫酸,硝酸)

➊中毒学的薬理作用:水素イオンが組織表面の蛋白質と結合し,組織蛋白が脱水して組織を凝固壊死させる.組織凝固性腐食作用である.

【酸による傷害の病態生理学的段階】

①急性炎症期(4~7日目まで):24~48時

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