Ⅰ.除細動
A.適応,合併症,ピットフォール
1適応
心室細動(図1図)では第1選択の治療法である.絶え間ない胸骨圧迫を続けながら行う.胸骨圧迫の中断は10秒以内にとどめるようにする.
2合併症
熱傷,心筋障害,心静止など
3ピットフォール
1潜在的心室細動,擬似心静止
①ある誘導で心静止(asystole),非常に小さな波形にみえても,他の誘導では心室細動である場合がある.これは潜在的心室細動といわれている.これを見逃すと早期の除細動ができず,蘇生の可能性が下がるので,このような場合には2つ以上の誘導で波形を確認する.
②一方,電源が入っていない,誘導のコードが外れている,感度が低すぎる,パッドのゲルが電気極性を帯びている場合など,技術的なミスによって心静止にみえる場合を擬似心静止という.擬似心静止は潜在的心室細動よりも発生率が高いので注意する.
2安全確保
①電極パッド,パドルが胸壁から浮いていると火花が出る可能性があり,高濃度酸素にさらされている環境では除細動すべきではない.酸素投与されている場合には吹き出しが電極に向いてないかを確認する.超音波検査用ゼリーは用いない.
②通電時には,自分自身と周囲が患者から離れているかと,酸素を確認し,声に出して警告してから行う.
B.インフォームドコンセントでの注意点
緊急性が高いので合併症などの説明は省略されることが多く,IC(インフォームドコンセント)自体,事後になることが多い.蘇生した場合にも再度心停止する可能性,意識が戻らない可能性を説明する.
C.準備するもの
除細動器,粘着電極パッド
D.手技の手順
以下,胸骨圧迫はできるだけ継続しながら行う.
1粘着電極パッドを貼る
①有効な除細動のためには経胸壁電気抵抗は少ないほうがよいので,このために粘着パッドを使用する.ペーストを塗ったパドル電極と同程度に効果的で,モニター電極としても利用できるので,心肺停