診療支援
治療

気道確保
airway management
井上貴昭
(順天堂大学救急災害医学先任准教授・浦安病院救急診療科)

A.適応,合併症,ピットフォール

 救急・蘇生行為は,BLS(basic life support)やACLS(advanced cardiopulmonary life support)の普及もあって,A:Airway,B:Breathing,C:CirculationのABCの確認と処置が一般的に知られるようになった.この中において,気道の確保は最も優先的に行うべき処置である.気道確保の方法は,用手的気道確保に代表される簡便法から,確実な気道確保の方法として気管挿管法などがあり,さらには外傷など気管挿管困難症例に対する外科的気道確保を要することもある.外傷症例においては頸椎の保護を要するため,気道の確保と同時に愛護的な頸椎保護操作を常に念頭に置く必要がある.

 気道確保を要する病態として,上気道閉塞症例,低酸素血症症例,ショック症例,意識障害症例が挙げられる.また気道確保実施後は,気道の開

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