診療支援
治療

胃管挿入,胃洗浄
nasogastric tube,gastric lavage
坂田育弘
(近畿大学医学部附属病院教授・救命救急センター)

 胃管挿入は救急患者の初期治療において,胃内容の吸引・内容確認や消化管蠕動低下による嘔吐に伴う誤嚥性肺炎の予防となる.また,経管栄養の補給や薬剤の投与にも有用である.さらに,胃管を用いた胃洗浄は,誤飲や服毒による中毒物質の消化管からの吸収量を抑制する.また,上部消化管出血時では胃洗浄による血液や凝血塊の体外への除去により,内視鏡検査や処置に有用となる.


A.適応,合併症,ピットフォール

1適応

①胃内容の吸引による減圧と内容確認.胃十二指腸疾患による幽門部通過障害時の胃内容の体外への排泄による症状の緩和.

②気管挿管人工呼吸時の消化管蠕動低下に対する胃内容の排泄と嘔吐の予防.

③消化性潰瘍,胃悪性腫瘍,AGMLなどによる上部消化管出血に対して,血液や凝血の体外への除去と止血,および緊急上部消化管ファイバースコープの前処置.

④胃内に残っている服用(毒)した薬物や毒物などの中毒物質の胃洗浄による体外への

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