診療支援
治療

超音波検査(FAST,急性腹症,心エコー,静脈血栓)
ultrasonography
池側 均
(大阪大学医学部附属病院・高度救命救急センター)
鍬方安行
(大阪大学大学院准教授・救急医学)

A.救急医療における超音波検査の位置づけ

1手順と考え方

 超音波検査は簡便で侵襲が少ない検査であり,繰り返し行うことが容易なため,経時的な変化を追うのに適している.また検査に引き続き,超音波ガイド下に穿刺を行うことで,より診断の質を高めることができる.さらに超音波ガイド下にドレナージをすることも可能で,治療につなげることもできる.超音波検査は,救急医療において,かなり利便性が高い手技である.本項では,このような今日的な視点から,救急領域における超音波検査の位置づけをとらえて,要点を整理する.

2注意点

 救急医療の現場では,時間的・空間的な制約を受け,どうしても精度が落ちることはやむをえない.予定検査と異なり,前処置はされていないし,体位や呼吸に制限があり,必ずしも患者の協力が得られるわけではない.描出できる範囲,臓器にも限度があることもある.そういう条件の中で検査を行っていることを念頭に置く.

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