無月経とは
■定義
無月経(amenorrhea)には,性成熟期の18歳になっても月経が出現しない原発性無月経と,以前あった月経の異常な停止をきたす続発性無月経がある.これらの病的無月経に対して,初経前,閉経後,妊娠,産褥,授乳期における無月経は生理的無月経と呼ばれる.
■患者の訴え方
「生理がない」と訴えたり,「思春期になっても生理が始まらない」などと訴えて原発性無月経が推測される場合,「4か月前から月経がない」などと訴えて続発性無月経が予測される場合がある.いずれにしても,初経がないのか,月経があったのちに無月経になったのかを確認する.
■患者が無月経を訴える頻度
無月経は婦人科疾患では1〜数%を占める.ただ,思春期の女性に限れば頻度の高い疾患である.原発性無月経が40%くらいを占め,続発性無月経が60%くらいを占める.
症候から原因診断へ
■病態の考え方
原発性にしろ続発性無月経にしろ,月経血流出路の先天的な欠損,あるいは感染症や外傷による後天的な狭窄・閉鎖などの解剖学的異常がないかどうかを,まず確認する.
次に,卵巣系の機能性あるいは器質性異常によって起こる無月経を考える.さらには,視床下部-下垂体系の機能性あるいは器質性異常によって起こる無月経を考える.
無月経をきたす病態を図3-249図に示す.その原因疾患の主なものを表3-258図に示す.
■病態・原因疾患の割合
(図3-250)図
原発性無月経で最も多い原因は,染色体異常を伴うTurner症候群や精巣性女性化症候群である.次いで,視床下部・下垂体疾患と性分化異常がおのおの約20%を占める.続発性無月経では,視床下部・下垂体疾患が80%くらいを占め,その1/4は高プロラクチン(PRL)血症やプロラクチン産生下垂体腺腫による.
診断の進め方
■診断の進め方のポイント
●月経とは,約1か月の間隔で起こる子宮内膜からの出血である.そのた