今日の診療
内科診断学

痙攣
小林 祥泰


痙攣とは

■定義

 痙攣(convulsion)とは,筋肉の急激かつ不随意的な収縮をいう.比較的大きな随意筋の収縮を意味し,喉頭痙攣などの植物機能の筋の収縮,もしくは顔面痙攣などは含めない.

■患者の訴え方

 部分発作では意識があるので,「手足や顔が勝手に動く」「ピクピクする」「ガタガタふるえる」などと訴える.大発作では痙攣と同時に意識を失うので,痙攣については覚えていない.

■患者が痙攣を訴える頻度

 一生の間に痙攣を伴わないものも含めて,てんかん発作をきたす頻度は3〜10%とされている.

 発生率は0〜9歳が最も高く,その後,低下する.有病率は人口1,000人に対して1歳で3.9人,70歳で9.1人と直線的に増加する.

 60歳以上では部分てんかんが70%以上を占める.

症候から原因疾患へ

■病態の考え方

(図3-298),(表3-310)

 痙攣には強直性痙攣と間代性痙攣,強直性間代性痙攣がある.起こる部位により全身性と部分性痙攣に分けられる.Jackson(ジャクソン)痙攣は痙攣の強さ,範囲が進行性に増大するのが特徴である.てんかん発作型分類では,部分痙攣は部分発作のなかの単純部分発作の運動発作に属する.Jackson痙攣が全身に及ぶ場合は,単純部分発作由来の二次性全般発作に,間代性・強直性・強直間代性痙攣が全般発作に属する.

 続発性てんかんで痙攣発作をきたす疾患を表3-310に示す.

 痙攣は,なんらかの原因によって過興奮状態をきたした大脳皮質,もしくは辺縁系の一群の神経細胞による,自発的な反復性の過剰放電が原因となって生じる.運動野に限局している場合に部分痙攣となる.

 脳波上のspike & waveは,大きな発作性の脱分極とそれに続く持続性の過分極を反映している.

■病態・原因疾患の割合

(図3-299)

 小児では熱性痙攣,髄膜脳炎,原発性全般てんかん,脳発達不全,遺伝性代謝異常な

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