今日の診療
内科診断学

不随意運動
(動)収載項目
岡田 和悟
小林 祥泰


不随意運動とは

■定義

 不随意運動(involuntary movement)とは,本人の意思に関係なく,勝手に動く,目的のない運動を指す.多くの場合,安静や睡眠で軽快し,動作時には増強する.

 運動の部位,様式により,振戦,舞踏運動,アテトーゼ,バリスム,ミオクローヌスなどの多数の種類に分類される.

■患者の訴え方

 患者は,「ふるえる」あるいは「手足が勝手に動く」などと訴える.部位によっては,眼瞼のぴくつきや頭部のふるえなどを他人に指摘されて来院する場合もある.

■患者が不随意運動を訴える頻度

 頻度は不随意運動の種類により異なるが,中高年では,安静時振戦はParkinson(パーキンソン)病の頻度が高く,動作時振戦は本態性振戦でよくみられる.甲状腺機能亢進症では細かい姿勢時振戦がみられる.薬物では,β刺激薬やテオフィリンなどの気管支拡張薬による振戦の頻度が高い.

 振戦以外の不随意運動を示す疾患は頻度的には少ない.

症候から原因疾患へ

■病態の考え方

 不随意運動をきたす原因はさまざまであるが,本症候が疾患そのものの症状である場合と,基礎疾患に随伴した二次性の症状である場合がある.

 診断のためには,不随意運動の出現部位,様式,状況を観察し,表3-342に示す各種の不随意運動のいずれにあたるかを検討する.図3-325,表3-343に部位ごとの代表的な不随意運動の種類と原因疾患を示す.

 出現部位としては,全身性に出現するか身体の一部のみ(顔面,頸部,眼,舌,口蓋,上肢,下肢など)に認められるか,一側性か両側性か,四肢の遠位部か近位部かを医療面接して観察する.また不随意運動が律動的か非律動的か,間欠性か持続性かの点も参考となる.

●振戦(tremor)

 表3-344に示すように,安静時振戦,姿勢時振戦,企図振戦,動作時振戦に分けられる.

 安静時振戦はParkinson病

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