心肺停止とは
■定義
心肺停止(cardiopulmonary arrest; CPA)とは,心臓と肺の機能が停止している状態を指し,心停止とほぼ同義に用いられる.語中に「停止」とあるが,心臓が動いていても有効な心拍出がなく,頸動脈の拍動が触知されない状態も臨床的に心肺停止と定義される.
すなわち,心電図波形が平坦で全く心臓が動いていない心静止(asystole)だけでなく,心臓が痙攣していてポンプ機能が失われ,脈拍が触知されない状態である心室細動(ventricular fibrillation; VF)や無脈性心室頻拍(pulseless ventricular tachycardia; 無脈性VT)も心肺停止に入る.
また,VF,VT以外のなんらかの心電図波形は認めるが脈拍が触知されない状態である無脈性電気活動(pulseless electrical activity; PEA)も心肺停止と定義される.PEAでは,心臓が全く動いていない場合もあるし,弱く動いているがポンプ機能が失われている場合も存在する.
心肺停止時の心リズムは,この4つのいずれかに分類される.
心停止時には呼吸は停止している.逆は真ならずで,窒息の初期に認められるように,心臓が動いていても呼吸が止まっている状態は存在する.しかし,頸動脈触知に慣れていない救助者の場合は,傷病者の反応がなく,気道確保しても呼吸がない状態であれば,心肺停止と判断して胸骨圧迫から心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation; CPR)を開始することが推奨されている.
■患者の訴え方
心肺停止時には患者の意識はないため,患者は何かを訴えることができない.何も訴えず反応がないのが心肺停止の特徴の1つである.
心停止が起こった直後には,しゃくりあげるような途切れ途切れの死戦期呼吸と呼ばれる呼吸様式を呈するこ