今日の診療
内科診断学

突然に発症した頭痛
30歳 男性
石川 欽也


現病歴:会社員.仕事を終え,妻の誕生日祝いでフレンチレストランにて食事をした.普段ほとんど酒を飲まないのに,この日は赤ワインをボトル半分飲んだ.帰宅して入浴し,床に就いて約1時間したところで,急に頭痛が出現した.頭痛発生後2時間で救急外来を受診した.患者に頭痛を詳しく説明してもらうと,「とにかく経験したことのない頭痛」と訴えている.

既往歴:生来健康.

身体所見:意識は清明.身長168cm,体重67kg,体温36.8℃,脈拍90回/分,血圧160/95mmHg,呼吸数24回/分.呼吸音清明,心音は心拍正常.救急外来に来てから一度嘔吐した.頭が痛くて目をつぶっていることが多い.

神経学的所見:項部硬直やKernig徴候はなく,羞明感もない.運動や感覚の麻痺もない.

診断の進め方

特に見逃してはいけない疾患

くも膜下出血

脳梗塞

脳出血

髄膜炎,脳炎

(以上は二次性頭痛と呼ばれる)

片頭痛などの一次性頭痛

頻度の高い疾患

救急外来での観察データ(日本頭痛学会:慢性頭痛の診療ガイドライン2013)

一次性頭痛38.3%(うち,片頭痛が6.6%)

二次性頭痛53.6%(うち,くも膜下出血は8.1%)

プライマリケアの診療

緊張型頭痛

片頭痛

このほか念頭におくべき疾患

高血圧

低酸素血症

脳腫瘍

頭蓋骨・頸・眼・耳・鼻・副鼻腔・歯・口の疾患

■この時点で何を考えるか?

 医療面接と身体診察を総合して考える点

 患者は,頭痛があることは言えるが,その性質を自らが適切に表現できない場合が多い.このため,頭痛の患者に接する場合には,医療面接が非常に重要である(表4-1)〔症候・病態編「頭痛」参照〕.

 日本頭痛学会が提唱している「慢性頭痛ガイドライン2013」から,頭痛の分類を挙げる(表4-2)

 この患者の頭痛は,〈p〉2時間前から突然起きている.これまでこのような激しい頭痛は経験していない.また,頭痛は持

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