診療支援
診断

初版の序

 医学を学びつつある者にとって,疾患に関する十分な量の知識を蓄えておきさえすれば,患者の訴えや身体所見と照らし合わせて診断を下すことなど,造作もない作業と思われるかもしれない.しかし,実際は必ずしもそうとはいえない.私自身,医学部高学年になって,臨床実習で実際に患者に接するなかで,それまでに学んできた疾患に関する知識がほとんど役に立たないことに強いもどかしさを感じたものである.自分自身の能力のなさを省みず,当時の内科教授に「教育のしかたがどこかおかしいのではないですか?」と訴えたことを,今でも鮮明に覚えている.今振り返ると,このエピソードが,私の医師としての生き方と陰に陽に深く関係しているように思う.

 学習してきたはずの知識が役立たない“もどかしさ”の原因の1つは,たとえ疾病に関してどのような症候が起こりうるのかを知っていても,個別の症候の原因としてさまざまな疾病を思い浮かべることができる

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら

トライアル申込ボタンを押すとトライアル申込ページに遷移します

トライアルの申し込みが完了しましたら,ライセンス情報更新ボタンを押してください