診療支援
診断

診察の進め方
奈良 信雄
(日本医学教育評価機構 常勤理事/順天堂大学医学部 客員教授/東京医科歯科大学 名誉教授)

診察の進め方のアウトライン

 診察とは,患者がもっている精神的・肉体的異常を正確に把握し,患者が健康に復帰するために行う適切な処置,すなわち治療を施すうえでの根拠を得るための医療行為のことである.

 この目的には,患者の訴える自覚症状〔愁訴(symptom)〕を確認することから始まり,患者の身体に現れている異常な他覚的所見〔徴候(sign)〕を眼で見たり,手で触ったりして観察する.次いで,必要に応じて臨床検査を実施する.これらを通じて,病態を把握し,疾患を診断(diagnosis)する.

 疾患によっては,病名をただちに診断できることがある.しかし多くの場合は,可能性のあるいくつかの疾患を念頭におき,それらのなかから,その患者に最も妥当と考えられる疾患名を判定していく.この過程を鑑別診断(differential diagnosis)といい,誤診を防ぐためにきわめて重要である.

 正確な診断を下す

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?