四肢の診察では,視診と触診が主となる.
四肢の疾患には,四肢自体の局所的疾患だけでなく,全身性疾患に際して四肢の筋肉,関節,骨,血管が障害されることもある.また神経疾患ではしばしば四肢に病変があり,その診察が重要である.
四肢を十分に露出し,全長にわたって入念に診察する.常に左右を比較し,上肢では手指,手,前腕,上腕,肩へと順を追って系統的に診察を進める.下肢では,足趾,足,下腿,大腿,鼠径部へと診察を行う.
視診
四肢では,皮膚の性状,変形,運動,異常運動などをよく観察する.
皮膚の視診
皮膚の異常所見は四肢の皮膚に出やすく,また発見しやすい.皮膚の色調,炎症性変化,発疹,浮腫,腫瘤などに注意する.
四肢の変形
上肢の変形
左右の上肢は普通,対称性であるが,利き腕のほうが長く太いこともある.左右の上肢を比較するには,正確に計測して比較する〔後述の「生体計測」参照〕.明らかな左右の非対称は,先天