腹部膨隆とは
定義
腹部膨隆とは腹部が張り,臍部が胸骨剣状突起と恥骨結合線を結んだ線より突出している場合をいう.また自覚的な膨満感,緊満感を訴える場合もこれに含む.
腹部への気体貯留(鼓腸)あるいは液体貯留(腹水)によって起こることが多いが,腹腔内・後腹膜臓器の腫瘤や妊娠子宮などによっても,また腹壁への脂肪貯留によってもみられることがある.
腹腔内・後腹膜臓器の腫瘤では,局在性の膨隆を認めることが多いが,ときに腹部全体が膨隆することもある.
患者の訴え方
一般に自覚症状として,「腹が張る」「腹が苦しい」などの腹部膨満感や緊張感を訴えることが多い.腸内ガスが原因の場合は,げっぷ,放屁,腹痛など他の症状もみられる.腹水が原因の場合は,かなり高度になるまで患者自身が気づかないこともある.
腹腔内・後腹膜臓器の腫瘤などによる局所性の膨隆では膨隆の自覚を訴えて来院する患者も多い.
膨隆がみられない膨満感