下血・血便とは
定義
下血・血便とは,消化管内に出血した血液の混じった便が肛門より排出されることをいう.
一般に消化管出血は,Treitz(トライツ)靱帯より口側からの出血による上部消化管出血と,それより肛門側からの下部消化管出血に分けられる.吐血は,上部消化管出血による血液が口腔より吐出されることであり,Treitz靱帯より肛門側の空腸以下での出血によることはきわめて稀である.一方,下血・血便は上部,下部すべての消化管出血で起こりうる.
下血は,黒色のタール便のみに使用し,鮮血に近い血便と区別して使用する(図1)図.さらに,消化管出血には肉眼的に診断できる下血・血便のほか,糞便の化学的免疫学的血液反応によって検出される潜血(occult bleeding)がある.しかし,潜血を下血・血便とは呼ばない.
患者の訴え方
患者は,「真っ赤な便が出た」「海苔のような色の便が出た」「イカ墨のような真っ