診療支援
診断

妊娠と分娩
pregnancy and delivery
吉田 梨恵
(東京医科大学茨城医療センター産婦人科)
藤村 正樹
(東京医科大学茨城医療センター産婦人科 教授)

妊娠と分娩とは

定義

 妊娠とは,受精卵の着床から胎児およびその付属物が母体外へ排出されるまでをいう.分娩はこの「母体外に排出する」一連の過程を指す.

 妊娠期間は最終月経開始日から数えておおよそ40週であり,最終月経開始日を0日,受精日を妊娠2週0日,分娩予定日を妊娠40週0日と定義している.7日を1週と定めており,たとえば最終月経開始日から6日目までが妊娠0週0日~0週6日,7日目~13日目までが妊娠1週0日~1週6日となる.

 妊娠が判明すると,排卵日(受精日)や胎児の大きさから現在の妊娠週数と分娩予定日を決定する.このとき月経周期が28日周期である場合,最終月経より14日目を排卵日(受精日)と推定できる.しかし月経周期が不順であったり,また順調であっても排卵日がずれる可能性もあるため注意が必要である.そのため,通常は妊娠初期の胎児超音波計測の結果を加味したうえで分娩予定日を決定している.

患者の訴え方

 通常の妊婦は各自特定の医療機関において妊婦健診を受けており,妊娠週数に合わせた管理をされていることが多い.そのためなんらかの身体症状で受診する場合も,患者からの医療面接の結果や母子手帳の記載内容などによりおおよその妊娠経過を知ることは可能である.

 しかし,患者自身が妊娠に気づいていない場合もあることに留意する必要がある.無月経やつわり・妊娠悪阻の出現で妊娠に気づくことは多いが,症状出現の有無には個人差があり,また月経周期がもともと不順である場合には月経が遅れていても受診せず妊娠に気づかない場合もある.妊娠初期の性器出血を月経と混同してしまうこともあり,注意が必要である.

 また稀ではあるが,妊娠週数がかなり進んでいても患者自身が気づかない,もしくは気づいていても妊婦健診を受けることなく分娩に至るという場合もある.切迫早産や陣痛による疼痛であっても,下腹部痛や性器出血,月経痛といっ

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