精神科領域での救急とは
定義
この「領域」の用語には混乱がある.「精神科救急」という用語があるが,これは一般には精神疾患による精神症状に対して緊急に精神科医による診察・治療を要する状況のことである.本書では「精神科領域での救急」という用語を,精神疾患を背景として生じた身体疾患だと判断または疑われた病態・原因疾患に対して,緊急に内科医などの身体科医による診察・治療を要する状況と定義する.
ただし,本書の特徴から,内科医が対応する可能性のある精神症状と向精神薬の副作用を中心に記述し,自殺企図による墜落,刺創,切創,熱傷などの外傷は除外した.急性中毒は別項に譲る.
患者の訴え方
精神症状については,パニック発作や過換気症候群では,窒息感や呼吸困難感などを「このまま死んでしまうのではないか」「気が狂ってしまうのではないか」などの強い不安や恐怖とともに訴える.パニック発作を繰り返してパニック症に進展する