現病歴:右乳房の腫瘤を自覚し,乳癌と診断され,切除術を受けた.退院後の来外来時に,ホルモン薬などが効かない癌であることが告げられ,強いショックを受けた.以降,食思不振,不眠などが出現し,はっきりとした身体因がないにもかかわらず,これら症状が続くため受診.
既往歴:特記すべきことはない.
生活歴:出生,発育,発達に特記すべき問題はない.短大を卒業後,自動車機器製造の会社に入社し,結婚とともに退職.現在,19歳と16歳の娘がいる.
家族歴:精神疾患の家族歴はない.母親は患者が4歳のときに脳腫瘍で死亡.父親はその後再婚.6歳年下の異母弟がいる.
病前性格:繊細で心配症.
身体所見:身長155cm,体重48kg,脈拍84回/分(整),血圧124/60mmHg,SpO2 98%.甲状腺腫などは触知せず.
【問題点の描出】
ストレスとなる出来事,特に喪失体験に続発する器質因のはっきりしない食思不振,不眠を認める.