現病歴:1か月前から,誘因なく,歩行時に左大腿から膝にかけての痛みを自覚,次第に痛みが左股関節に集中するようになった.他院で股関節,膝および腰椎の単純X線撮影を受け,坐骨神経痛と診断された.物理療法や鎮痛薬投与を受けるも,痛みは悪化傾向である.
既往歴:高血圧,脂質異常症.
生活歴:飲酒歴は20歳から毎日日本酒一合,喫煙歴はなし.
家族歴:母親が高血圧.
身体所見:疼痛による跛行を呈す,股関節および膝関節の可動域に明らかな左右差なし,Patrick(パトリック)テスト左陽性
【問題点の描出】
アルコール多飲あり.腰からの神経痛としての治療が奏効しない.前医では単純X線撮影で股関節の異常を指摘されなかったが,必ずしも股関節に異常がないとはいえない.Patrickテストは仰臥位で一方の股関節を屈曲,外転,外旋し,足を反対側大腿に乗せて「4の字」の形にして膝を上から押す徒手検査で,股関節,鼠径部に痛みを訴え