診療支援
診断

異物誤飲
10歳 男性
宮道 亮輔
(自治医科大学メディカルシミュレーションセンター・救急医学 准教授)

現病歴:以前からふざけて画鋲を口の中に入れて遊ぶことがあった.本日も画鋲を口に入れて遊んでいたら間違えて飲み込んでしまったとのことで救急外来を受診した.咽頭痛や胸痛,腹痛なし.呼吸困難なし.

既往歴:特記すべきことなし.

生活歴:両親と3人暮らし.

家族歴:特記すべきことなし.

身体所見:意識は清明.呼吸数20回/分,SpO2 99%(room air).口腔内に異物なし.呼吸音は清で左右差なし.腹部は平坦・軟で圧痛を認めない.

【問題点の描出】

生来健康な10歳男児.画鋲を飲み込んでしまったとのことで受診.先端が尖った物の誤飲のため,異物が気道にあっても消化管にあっても緊急摘出が必要である.

診断の進め方

特に見逃してはいけない疾患

・窒息

・気道異物

頻度の高い疾患

・食道異物

・胃内異物

・腸管内異物

この時点で何を考えるか?

医療面接と身体診察を総合して考える点

 異物誤飲・誤嚥で受診した患者に対しては,〈p〉まず気道異物かどうかを判断する必要がある.気道異物は窒息に陥る可能性があるため緊急度が高い.

 気道が完全に塞がれる〈p〉完全窒息の場合は発語(発声)できず,病院に到着する前に呼吸停止から心停止になる可能性が高いため今回は考えにくい.〈p〉完全ではない窒息を示唆する気道狭窄音も認めていないが,気道内に異物がある場合は,異物の位置が変わると窒息に陥る可能性があるため,注意しながら本人・家族に対する医療面接や身体診察,検査を進める.

 誤飲・誤嚥の事例では,誤飲・誤嚥してしまった原因と,その結果についてそれぞれ考える必要がある.本人や家族に,どのような経緯で誤飲・誤嚥してしまったのか(いつ誤飲したのか,異物は何なのか,本当に飲み込んだのか,うっかり飲み込んだ・自殺企図・認知機能障害・嚥下機能障害など),状況を具体的に聴取する.今後も同様の過ちを繰り返さないようにするには原因への対応が必要なため,詳細な

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?