診療支援
治療

7カルバマゼピン
上條 吉人
(北里大学特任教授・中毒・心身総合救急医学)

最初の10分メモ

含有する製品

・カルバマゼピン(カルバマゼピン®,テグレトール®,テレスミン®,レキシン®


診断のポイント

・側頭葉てんかん,三叉神経痛,双極性感情障害などの病歴またはカルバマゼピンの服用歴がある患者に,昏睡,腸蠕動運動の低下,QRS時間の延長などの心電図異常,低ナトリウム血症などを認める.

・カルバマゼピンの血中濃度が高値である(>12μg/mL).

・第1世代三環系抗うつ薬と化学構造が類似しているため,Triage DOA®で三環系抗うつ薬類(TCA)が陽性となることがある.


治療のポイント

・活性炭の繰り返し投与を施行.

・重症患者には血液灌流法を施行.


Do&Don't

・遅延性に症状が出現することがあるので,無症状でも最低6時間は観察.

・活性炭の繰り返し投与を施行しないと中毒症状が遷延することに注意.


概説

 カルバマゼピンは抗痙攣作用,感情安定作用などの薬理作用をもち,側頭葉てんかん,三叉神経痛,双極性感情障害などの神経内科疾患や精神障害の治療に広く用いられている(化学構造:図1).


薬物動態

・末梢性ムスカリン受容体遮断作用(抗コリン作用)によって腸蠕動運動が低下するため腸管からの吸収が緩徐かつ不安定である.

分布容積は比較的小さいが,蛋白結合率は比較的高い→血液灌流法は有効.

ほとんどが肝臓で代謝されて胆汁中に分泌され,その一部分は腸肝循環する活性炭の繰り返し投与が有効.


毒性のメカニズム

・カルバマゼピンは,弱いヒスタミンH1受容体遮断作用,比較的強いムスカリン受容体遮断作用,弱いα1アドレナリン受容体遮

・断作用,ナトリウムチャネル(Na channel)阻害作用,抗利尿作用をもつ(図2).

・過量服薬では,これらの作用が増強されて毒性を発揮する.

・血中濃度が有効血中濃度より上昇するほど中毒症状は重症となる.

  有効血中濃度(治療域):4~12μg/

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