診療支援
治療

14ジフェンヒドラミン
上條 吉人
(北里大学特任教授・中毒・心身総合救急医学)

最初の10分メモ

含有する製品

・処方薬:ジフェンヒドラミン塩酸塩(レスタミンコーワ®)(1錠中10mg),ジフェンヒドラミン塩酸塩(ベナ®)(1錠中10mg)

・OTC薬:ジフェンヒドラミン塩酸塩(トラベルミン®),ジフェンヒドラミンサリチル酸塩(ドリエル®)など


診断のポイント

・抗アレルギー薬,鼻炎薬,風邪薬,睡眠改善薬,制吐薬の服用歴のある患者に,成人であれば傾眠,昏睡などを,小児および若年者であれば不穏・興奮,痙攣発作などを認める.


治療のポイント

・QRS時間の延長,心室性不整脈には炭酸水素ナトリウムを静注して血液のアルカリ化およびナトリウム負荷を行う.

・抗コリン毒性による症状が著しければフィゾスチグミンの静注を考慮.


Do&Don't

・成人では中枢神経抑制症状が,小児および若年者では中枢神経

・興奮症状が優位となることに注意.

・7.5mg/kg以上服用していれば,無症状であっても最低4時間は入院とする.

・小児の不穏・興奮または痙攣重積発作にはプロポフォールを投与しない.

・不穏・興奮には抗コリン作用のある抗精神病薬を投与しない.


体重50kgの実践投与量

・QRS時間の延長(>0.10秒),心室性不整脈には炭酸水素ナトリウム50~100mEqのボーラスでの静注を適宜繰り返し,血液をアルカリ化してpHを7.45~7.55とする.


概説

 ジフェンヒドラミンは,抗ヒスタミン作用だけでなく,抗コリン作用,鎮静作用をもつ.ジフェンヒドラミンは,抗ヒスタミン薬として処方されているだけでなく,抗アレルギー薬,鼻炎薬,睡眠改善薬,制吐薬などとして市販されている(化学構造:図1).


薬物動態

分布容積が大きい血液浄化法は無効.

・ほとんどは肝臓で代謝されて,その大部分は尿中に排泄される.

・およそ1%は未変化体として尿中に排泄される.


毒性のメカニズム

・ジフェンヒドラミンは,比較的強いヒスタミン

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