診療支援
治療

27グリホサート・界面活性剤含有除草剤
上條 吉人
(北里大学特任教授・中毒・心身総合救急医学)

最初の10分メモ

含有する製品

・グリホサート・アンモニウム塩(ラウンドアップハイロード®,草当番®,ブロンコ®)

・グリホサート・イソプロピルアミン塩(ラウンドアップ®,三共の草枯らし®,カルナクス®,クサトリキング®,ポラリス®,草枯らしMIC®)

・グリホサート・カリウム塩(タッチダウンiQ®,ラウンドアップマックスロード®,タッチダウンAL®)

・グリホサート・トリメシウム塩(タッチダウン®)


診断のポイント

・GlySHへの曝露歴,または,曝露を生じる状況がある患者に,消化器症状を認める.


治療のポイント

・輸液を施行し消化管からの体液の喪失を補い,尿量を維持.

・高カリウム血症または代謝性アシドーシスを伴う急性腎不全には血液透析法を施行するが,グリホサートの排泄の促進の手段としての血液透析法の有効性や適応については議論が分かれている.


Do&Don't

・大量服用では,初診時は軽症であっても集中治療室で少なくとも12時間は経過観察.

・腐食作用があるので胃洗浄は施行しない.


概説

 非選択型除草剤であるグリホサート・界面活性剤含有除草剤(glyphosate surfactant herbicide;GlySH)は,最も広く用いられている除草剤の1つである.GlySHはグリホサート塩と界面活性剤を主成分としているが,その外に,消泡剤,着色剤,殺菌剤,(pH調整用)無機イオンなどのさまざまな成分を含んでいる.グリホサート塩としてはイソプロピルアミン塩などが,界面活性剤としては非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンアミンなどが用いられている(イソプロピルアミン塩の化学構造:図1).


薬物動態

・分布容積が小さく,蛋白結合率が低い→血液透析法が有効な可能性がある.

・ほとんどは未変化体のまま速やかに尿中に排泄される.

・界面活性剤の薬物動態はほとんどわかっていない.


毒性のメカニズム

・GlySHの

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