最初の10分メモ
含有する製品
・フッ化水素酸は,半導体,ハイオクガソリン,プラスチック,染料などの製造やガラスの食刻,電気メッキ,皮なめしなどに用いられている.また,さび取り剤の主要成分としても用いられている.下記の化学反応式のように,フッ化カルシウム(CaF2)を主成分とする蛍石と濃硫酸を混ぜ合わせると無水フッ化水素酸(フッ化水素)が発生する.
CaF2+H2SO4→2HF+CaSO4
診断のポイント
・フッ化水素酸への曝露歴または曝露が生じる状況がある患者に,皮膚汚染では,拍動性の激しい疼痛などを,吸入では,眼痛,鼻炎,咳嗽,呼吸困難などを,経口摂取では,嚥下痛,前胸部痛,心窩部痛などを認める.
・いずれの経路の曝露でも低カルシウム血症,低マグネシウム血症,高カリウム血症などの電解質異常を認める.
・曝露されたフッ化水素酸の濃度,曝露された時間および持続時間,曝露様式,現場での応急処置などの情報は,重症度や予後の評価に重要である.
治療のポイント
・低カルシウム血症が生じる可能性のある患者には血清電解質濃度の結果を待たずにグルコン酸カルシウムを投与.
■皮膚汚染
・手指や足趾などの四肢末端の化学熱傷には,グルコン酸カルシウムを動注.
・爪下の傷害には,抜爪を施行.
・壊死した皮膚はデブリードマンし,さらなる傷害の深達,および,F-の吸収による体循環への移行を防ぐ.
Do&Don't
・2次被害の予防のために,ラテックスまたはビニール手袋,および,プラスチックエプロンなどを装着してから治療.ディスポーザブルの手袋を使うのであれば,二重にして使用.
■皮膚汚染
局所の曝露であっても,低カルシウム血症,低マグネシウム血症,高カリウム血症,および,電解質異常による心電図異常や心室性不整脈などの全身症状が生じるので,血清カルシウム,マグネシウム,カリウム濃度を適宜チェックし,心電図を持続モニター.
・外見上
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