〔治療の基本方針〕
血栓性静脈炎に対しては,症状(疼痛,腫脹)の緩和と,深部静脈への血栓進展の予防である.深部静脈血栓症に対しては,急性期は症状(疼痛,腫脹)の改善と血栓の除去・溶解,肺血栓塞栓症の予防であり,慢性期は血栓の進展・再発予防,慢性静脈不全症・静脈炎後症候群(下肢静脈瘤,浮腫,皮膚潰瘍など)の予防である.
〔臨床分類〕
上肢深部静脈血栓(原因はカテーテル留置がほとんど,他に胸郭出口症候群や上大静脈症候群)と下肢深部静脈血栓(発生部位は下肢または骨盤)があり,頻度は後者が高い.また,下肢深部静脈血栓は中枢型(膝窩静脈から中枢側)と末梢型(膝窩静脈から末梢側,下腿限局)に分類される.
〔重症度〕
合併症により重症度が決まる.肺血栓塞栓症への合併の有無が重要であり,特に急性肺血栓塞栓症を合併すると循環虚脱・心肺停止,低血圧・ショック,心不全を起こし,予後が悪い.また,卵円孔開存を有する例
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