診療支援
治療

【14】認知機能障害
cognitive disorders
横江 正道
(名古屋第二赤十字病院・第二総合内科部長)

症候を診るポイント

●高齢者で認知機能障害をきたす要因には,薬剤の副作用からAlzheimer型認知症のような神経変性疾患まで,多彩な疾患・病態が含まれていることに留意する.

●認知機能障害を客観的に評価するうえで,認知機能検査を活用する.

▼定義

 認知機能とは,①受容,②記憶と学習,③思考,④表出の各機能のことを指し,認知機能障害は,これらに障害が及んでいる状態である.そのなかでも認知症の鑑別が重要になるが,認知症の定義は,①認知欠損による自立障害,②失語・失行・失認・実行機能障害の1つ以上がある,③せん妄ではない,④ほかの精神疾患では説明ができない,となっている.認知症と健忘,抑うつ状態は鑑別が必要である.健忘は記憶障害のみであり,抑うつ状態は記憶低下や意欲低下をきたすことがあり注意を要する.

▼病態生理

 認知症をきたす疾患は多彩であり,神経変性疾患としては,Alzheimer(アルツハイマー

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