診療支援
治療

肺水腫
pulmonary edema
田坂 定智
(弘前大学大学院教授・呼吸器内科学)

疾患を疑うポイント

●呼吸困難とともにピンク色・泡沫状の痰がみられる.

●胸部X線で両肺に浸潤影またはすりガラス影がみられる.

学びのポイント

●肺水腫は肺血管外に液体が異常に貯留した状態のことであり,左心不全に伴う心原性肺水腫や炎症に伴う肺血管透過性亢進を特徴とする急性呼吸促迫症候群(ARDS)が代表的な病態である.

●臨床的には進行性の呼吸困難を特徴とし,胸部X線では両側性の陰影(多くは浸潤影)がみられる.

●ARDSの低酸素血症は酸素吸入のみでは改善が乏しく,陽圧換気が必要である.人工呼吸器の設定に当たっては,一回換気量を低く設定し,気道内圧を低く維持する肺保護的換気法が行われる.

▼定義

 肺水腫は肺胞腔内や間質など肺血管外に液体が異常に貯留した状態のことである.

▼病態

 微小肺血管を介する液体の移動は,以下のStarling(スターリング)の式で規定される.

  Qf=Kf(ΔP-σΔπ)

  Qf:

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?