診療支援
治療

【2】慢性呼吸不全
chronic respiratory failure
平井 豊博
(京都大学大学院教授・呼吸器内科学)

疾患を疑うポイント

●COPDなどの慢性呼吸器疾患をもつ高齢者に多い.

●主たる症状は,慢性の労作時呼吸困難.

学びのポイント

●慢性呼吸器疾患が進行して重症化した際に共通して起こる病態として重要.

●呼吸不全に対する治療として,在宅酸素療法,換気補助療法,呼吸リハビリテーションなどがあり,同時に基礎疾患に対する十分な治療を行うことが大切.

●基礎疾患だけでなく,肺性心などさまざまな合併症をきたしうるため,これらの管理・治療も要する.

●気道感染症などを契機とした急性増悪を起こすことがあり,予後を不良にする.

▼定義

 呼吸不全の状態(室内気吸入時の動脈血酸素分圧が60Torr以下となる呼吸障害)が少なくとも1か月以上続いた場合と定義される.

▼病態

 呼吸不全が起こる成因としては,換気障害(肺胞低換気)と肺のガス交換障害(換気血流比不均等肺拡散障害,右→左シャント)とがあり,このような障害をきたす慢性の基礎

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