診療支援
治療

気管支鏡検査
本間 栄
(東邦大学教授・びまん性肺疾患研究先端統合講座)

●気管支鏡検査は呼吸器疾患の病態解析・確定診断・治療に有用な検査法の1つで,気管支を介して肺内病変部位の観察や細胞・組織の採取が可能である.通常の気管支鏡は外径5~6mmで区域気管支から亜区域気管支までの観察が可能である.気胸,出血,低酸素血症,不整脈などの合併症に注意する.

◎気管支肺胞洗浄

●気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage:BAL)は,低侵襲で比較的安全に肺局所の情報を得ることができるため,びまん性肺疾患の診断や病態解析に広く用いられている.びまん性肺疾患では,一般に回収率が良好な右中葉や左舌区で施行することが多いが,病変分布の強弱に従って採取場所を変更する.気管支ファイバースコープを目標気管支にウェッジ(楔入)させ,吸引をオフにした状態で,補助者が37℃の生理食塩液50mLを鉗子孔から注入し,用手的にシリンジに陰圧をかけながらゆっくりと出血や気道の虚脱が生じないように行う.通常,50mL×3回(計150mL)を施行し,回収率は60%程度がよいとされ,30%を下回ると検査結果の信頼性に欠ける.

●BAL所見は,びまん性肺疾患において確定診断あるいは補助的診断となるものまでさまざまであるが,その臨床的意義はいずれも大きい.また,細胞分画によるびまん性肺疾患の鑑別診断にも有用である.BAL液からの病原体および悪性細胞の検出は,感染症や悪性疾患の確定診断につながる大変有用なもので,例えばニューモシスチス肺炎が疑われる際は,Diff-Quik染色法を用いる.その他,好酸球性肺炎における好酸球増加,肺胞出血における血性の洗浄液とヘモジデリンを貪食したマクロファージ,肺胞蛋白症における白濁した洗浄液とPAS陽性物質の存在なども診断に有用な所見である.一方,IIPsの診断における有用性は限定的である.IIPsの鑑別診断の補助として,さらにその活動性の評価にお

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