診療支援
治療

人工呼吸療法
石原 英樹
(八尾徳洲会総合病院・副院長(呼吸器内科))

◆人工呼吸の種類─IPPVかNPPVか

●近年,侵襲的な気道確保をせずに,マスクを用いた換気補助療法である非侵襲的陽圧換気(Noninvasive Positive Pressure Ventilation:NPPV)が普及しつつある.NPPVは気管挿管などの従来の気管挿管下の侵襲的陽圧換気(invasive positive pressure ventilation:IPPV)と比べ,導入の容易さと簡便性,患者に対する侵襲度が低いというメリットがある反面,肺胞換気量確保の確実性の点では,IPPVのほうが優れている.また誤嚥がある場合,喀痰などの分泌物喀出が困難のため気道確保が必要である場合などは,IPPVを選択する.表2-44,45にIPPVと比較したNPPVの利点・欠点を示す.

◆IPPV

◎人工呼吸器のしくみ(図2-50)

●圧縮されたガスが人工呼吸器内に供給され,酸素ブレンダ内で必要とする酸素濃度に調節され,送気機構により患者回路の吸気側に向かう.制御されたガスは吸気弁へ送られ,吸気時の量や圧,流量など,吸気に必要な要素を制御し,吸気回路にガスを送り出す.吸気時に吸気弁が開き呼気弁が閉じることにより,ガスを患者の肺に送り込み,呼気時は吸気弁が閉じ呼気弁が開く.この一連の制御は電気信号やコンピュータで行われる.また吸気圧センサーで回路内圧を測定し,自発呼吸時の圧トリガーとして利用する.呼気圧センサーで呼気圧を測定し,呼気抵抗・PEEP圧を調節する.呼気流量センサーは,自発呼吸時のフロートリガーとして利用する.

◎換気様式

●VCV(volume control ventilation):設定した1回換気量を送気する様式である.気道内圧は肺のコンプライアンス(固さ)や気道抵抗によって変化する.呼気への切り替わりは設定された1回換気量が送気された時点で開始される.

●PCV(pr

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