診療支援
治療

経皮的冠動脈インターベンション
中村 正人
(東邦大学医療センター大橋病院・循環器内科教授)

●冠血流を正常に復する血行再建術には狭窄を解除することによる方法(経皮的冠動脈インターベンション,percutaneous coronary intervention:PCI)と狭窄の遠位に新しい血流の道をつくる方法(冠動脈バイパス術)がある.PCIは局所麻酔で橈骨動脈または大腿動脈にシースを留置し,このシースからカテーテルを冠動脈入口部まで挿入し,そのカテーテルを通して冠動脈末梢まで細いガイドワイヤーを挿入する.ついで,拡張デバイスをこのガイドワイヤーに載せて病変部まで運び拡張を行う.低侵襲が最大のメリットであるが,造影剤を用いて行う治療のため腎機能障害のある症例には選択できない.

●種類:バルーンによる拡張術,ステントを留置する拡張術,粥腫を切削し拡張を得る方法に大別される(図3-17).ステントは金属の筒で,バルーンに装着された状態で病変に運ばれ,病変部で拡張される.ステントの周囲に薬剤をコーティングし局所に薬剤を投与することで再狭窄を減じた薬剤溶出性ステント(drug eluting stent:DES)が現在は治療の中心である.切削する方法には,石灰化病変を切削し拡張するロータブレーター,方向性をもって粥腫を切除するDCA(directional coronary atherectomy)がある.

●成績:数か月~1年以内に拡張前の状態(冠動脈高度狭窄)に戻ってしまう現象を再狭窄とよび,バルーンによる拡張では30~40%にみられ,この治療方法のアキレス腱と称されてきた.しかし,DESにより数%と著しく改善している.ステントは内皮化されるまで血栓症のリスクを有し,予防のために2剤抗血小板薬(アスピリン,P2Y12受容体拮抗薬)投与が必要である.現在,その頻度は0.5%以下である.

●生体吸収性スキャフォルド(bioresorbable scaffold:BRS):ス

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