▼定義
舌癌は,舌前方2/3に発生する癌である.咽頭癌は,咽頭部に生じる癌で,軟口蓋や舌後方1/3もこれに含まれる.口唇癌は,上下口唇の赤唇部と唇交連に発生する癌をいう.
▼病態
舌癌,咽頭癌,口唇癌の主な組織型は扁平上皮癌である.扁平上皮癌は,口腔および咽頭粘膜に存在する扁平上皮細胞に類似した腫瘍細胞が,基底膜を破壊し,腫瘍胞巣を形成しながら浸潤,増殖している.
口腔・咽頭癌などの頭頸部癌発症の危険因子は,飲酒と喫煙である.また,舌癌では,齲歯の鋭縁や不適合な義歯による舌への慢性的な機械的刺激も誘因となる.上咽頭癌は,ほかの頭頸部癌に比べ比較的若年者に発症する傾向にあり,EB(Epstein-Barr)ウイルスの感染が発症に関与していることが報告されている.病理組織学的には低分化型扁平上皮癌と未分化癌が多い.中咽頭癌は,患者の50%以上にヒトパピローマウイルス(human papillom