診療支援
治療

(2)バレット食道癌
Barrett's esophageal cancer
清水 勇一
(北海道大学病院診療教授・光学医療診療部)

▼定義

 食道粘膜は扁平上皮で覆われているが,胃食道逆流症(gastro-esophageal reflux disease:GERD)などが原因で,胃食道接合部より口側(腹部食道,胸部下部食道)が円柱上皮で化生されることがある.これをBarrett(バレット)粘膜とよぶが,Barrett粘膜を背景として発生した食道腺癌をBarrett食道癌という〔本章「バレット食道」の項()も参照〕.

▼病態

 食道腺癌は,欧米においては過去30~40年の間に,驚異的な増加を示し,米国では1995年を境に食道癌における扁平上皮癌と腺癌の頻度が逆転し,現在では腺癌が約6割に達している.日本を含むアジア圏においては依然,食道癌のほとんどは扁平上皮癌であり,腺癌の頻度は少ない.しかし,日本人のGERD患者は増加しており,GERDを背景として発生するとされるBarrett食道癌の頻度も増加していく可能性があると考え

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