疾患を疑うポイント
●肝硬変患者の吐下血では,食道胃静脈瘤破裂を第一に考える.
学びのポイント
●食道胃静脈瘤の多くは,門脈圧亢進症による遠肝性側副血行路である.
●門脈圧亢進症の基礎疾患としては,肝硬変症が最も多い.
●治療には,内視鏡的治療,interventional radiology(IVR)治療,外科的治療がある.
▼定義
門脈系は大循環系の静脈と連絡している部位がある.持続的な門脈圧亢進の状態に伴って,これらの生理的に存在する門脈-大循環系交通枝は径が拡大し,門脈から大循環への血流ルートとしての役割を担うようになる.食道胃静脈瘤はこの側副血行路の1つであり,食道・胃粘膜下層の静脈が拡張し,粘膜面が瘤状に隆起して観察される血管病変である.
▼病態
食道胃静脈瘤の形成には,①門脈圧亢進に伴って発達した遠肝性側副血行路,②下部食道・胃噴門部領域における局所の循環亢進状態,の2つの病態が関与してい