診療支援
治療

(2)過形成性ポリープ
hyperplastic polyp
八尾 建史
(福岡大学筑紫病院教授・内視鏡部)

▼病態

 胃のポリープのなかでは,最も頻度が高い.過形成性ポリープはHelicobacter pylori感染による活動性慢性胃炎粘膜を背景に発生する.一方,H. pyloriによる慢性胃炎を有しない正常胃粘膜に過形成性ポリープを認めることはきわめてまれである.組織学的には胃腺窩上皮が著明な過形成性変化を呈し,間質には,毛細血管の増生や拡張,炎症細胞浸潤,浮腫を伴う.ポリープ表面の上皮には,慢性活動性炎症を認め,びらんを伴うことがある(図4-28).過形成性ポリープの癌化は,まれであるが,サイズが大きいものは,癌化する可能性がある.

▼疫学

‍ H. pyloriによる慢性胃炎患者に認めることは,前述した通りであるが,一般に加齢とともに増加する.約70%が単発例であるが,加齢に伴い多発する例が増加する傾向にある.性差はない.

▼診断

 過形成性ポリープにより症状を起こすことは少なく,ほかのポリープと同様に内視鏡検査や胃X線造影検査で偶然発見される.ポリープのサイズが大きくなると出血や癌化を伴うことがある.最も好発する部位は,胃幽門腺領域(胃前庭部)であるが,ほかの胃底腺領域(胃体部・胃底部)にも発生する.形態学的特徴は,萎縮を伴う胃粘膜に存在する山田・福富分類Ⅰ~Ⅳ型のすべての形態を呈する数mm~数cm大の隆起性病変である.内視鏡所見上,ポリープ表面の色調が強い発赤調を呈することが特徴である.サイズが小さければ表面平滑であるが,サイズが大きくなると表面にびらんによる白苔を有し分葉状の形態を呈する.

▼治療

 治療は,サイズが小さいものについては,H. pylori除菌治療を行い,慢性胃炎が沈静化すれば退縮することが多い.サイズが大きいもの(2cm以上)は,出血や癌化のリスクがあるのでポリペクトミーを行う.

▼予後

 過形成性ポリープそのものが生命予後に影響を与えることはない.

実習のポイント

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