診療支援
治療

4 胃神経内分泌腫瘍
gastric neuroendocrine tumor
岡田 裕之
(岡山大学大学院教授・消化器・肝臓内科学)

▼定義

 粘膜深層にある内分泌細胞に由来する腫瘍.

▼分類

 2010年WHO分類で内分泌系消化器腫瘍をNEN(neuroendocrine neoplasms)と総称し,高分化のNET(neuroendocrine tumor)と低分化のNEC(neuroendocrine carcinoma)に分類した.さらにNETは細胞分裂像ないしKi-67指数によりNET G1,G2に亜分類した.

 胃NENはRindi分類により高ガストリン血症に起因するTypeⅠ,TypeⅡと,高ガストリン血症を伴わず,孤発性に発症するTypeⅢに分類される(表4-6)

▼病態

 TypeⅠは胃底腺に対する自己抗体(抗胃壁細胞抗体,抗内因子抗体)により胃底腺が破壊されるA型胃炎(自己免疫性胃炎)を背景とする.胃底腺領域の壁細胞が破壊され,酸分泌が著明に低下し,フィードバック機序により幽門腺領域のG細胞からガストリンが過剰に分泌される.ガストリン刺激により胃底腺領域で酸分泌調整を行っているECL細胞(enterochromaffin-like cell)が過形成性変化を起こし,さらに内分泌細胞胞巣(endocrine cell nest:ECN)が形成され腫瘍化しNETが発生すると考えられる.時にHelicobacter pylori感染による萎縮性胃炎(B型胃炎)でも起こる.

 TypeⅡは多発性内分泌腫瘍(multiple endocrine neoplasia:MEN)1型およびZollinger-Ellison症候群に合併するものでガストリン産生腫瘍により,血清ガストリンが著明に上昇し,胃NETが発生する.

 TypeⅢはガストリンが関与せず孤発性に発生し,通常は単発で比較的大きなものが多い.

▼診断

 内視鏡検査では表面が平滑な粘膜下腫瘍様隆起病変であり,同色調からやや黄色調あるいは発赤調で表面に拡張し

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